前回の続きを書きます。


まず「パークゴルフ場・フラワーパーク等整備事業が中止されたことにより、どのような影響があったか？」ということですが、

・事業費総額約１３億円を予定しており、うち多くを合併特例債で充てる予定だった。国県からの支出金はなかった。
・実際に支出したのは土地代１億数千万円、契約解除による３千万円など。

ということでしたので、事業中止後の財源や国県との調整への影響などが危惧されましたが、
もともとが合併特例債を活用した自主的な事業であったため、その影響は限定的であったように感じました。
もちろん担当職員の方々は、実施設計業務委託契約の解除等により、各方面での調整に奔走されたのではないかと思います。


そして、既に市が取得した土地もあるので、「今後はどのような展開を考えているか？」ということについては、

・用地は９割方取得済み。
・住民を交えた跡地検討委員会を設けて検討した結果、主に企業誘致をするための土地として活用していくことになった。
・現在、宮崎県の木材会社が名乗りを上げている。６ｈａの敷地に貯木場や加工場を造る予定。
　バイオエネルギーによる発電事業も検討している。
・また、太陽光発電施設の誘致も進めている。

ということで、今後の展開も、木材会社などの協力を得て、目途が立ちつつあるようです。
購入した用地全体を開発するというよりは、必要に応じて造成し、その他の山林は保全する方向性であり、
事業方針の転換には大きなエネルギーを要したと思いますが、住民の声を参考に、
良い方向で進めて頂きたいと思う次第です。


さらに、前回の終わり部分の問題意識についての所感を述べるとすれば、
地域の政治風土としては、必ずしも革新色が強いわけではなく、やはり保守色が強いように感じました。

ただこの事業に関しては、採算性や将来性などを勘案して多くの住民が反対した、ということではないかと考えられ、
「観光・交流・誘客」という観点よりも、農林業や製造業を重視する文化があるのかもしれないと思われます。
いわば、地域の歴史や現実を踏まえた冷徹な投票行動が、そこに多く行われたのではないか、ということです。

改めて、地域の歴史や文化に根ざした実情を踏まえる大事さを、政治家・有権者ともに感じ取るべきなのだ、
ということを学ぶ思いです。


結びとなりますが、人口減少時代を迎え、公共施設の整備には慎重な判断が必要と感じます。
地域住民の意見を十分に聴き、個別最適でなく全体最適で判断していかなければならない、
もし恒常的に赤字を生むような施設は、それが公共サービスとして不可欠なものでない限り、
整備するという判断は難しくなるでしょう。
このような観点からも、大いに参考になる事例であると考えます。


（曽於市役所ロビーにあった年代物の置時計。これからも曽於市の発展を見つめながら、時を刻んでいくことでしょう。）